Evil of inaction: 何もしない事の悪

少し前のこちらの記事で紹介した、Dr.フィリップ・ジンバルドによる
ルシファー効果についてにプレゼンテーションの中で、個人的にも特に
色々と考えさせられた部分があったので、今回少しだけその部分をとり
あげてみたいと思います。

この講演の中で、Dr.ジンバルドは「普通の人が悪人になり得る要因」と
して"slippery slope of evil”(悪の滑り坂)という概念を紹介して
います。

それらは、

■Slippery slope of evil

1. Mindlessly taking the first small step.
2. Dehumanization of others.
3. De-individuation of self.
4. Diffusion of Personal Responsibility
5. Blind obedience to authority
6. Uncritical conformity to group norms.
7. Passive tolerance to evil through inaction or indifference.



■滑りやすい坂のような7つの社会的プロセス


1.考えもなく最初の小さな(悪の)ステップを踏む。
2.他人の人間性を剥ぎ取る。
3.自身の没個性化を図る。
4.個人の責任を曖昧にする。
5.権限へ盲目的に服従する。
6.グループの基準に無批判的に従う。
7.怠慢や無関心によって受動的に悪を許容する。



これらの7つの社会的プロセスの中で特に私の気を惹いたのが、7つ目の
「怠慢や無関心によって受動的に悪を許認する」の部分で、これはDr.
ジンバルドの言うところの「evil of inaction」、言わば悪の存在を
認識していながらも、見て見ぬ振りをし自らが関わる事を避け、何も
行動を起こさない事で結果的に悪を許容してしまっていると言った意味
なのですが、私が思うに実はこれって、私達が集団社会の中で生活して
いる中で、つい無意識のうちに(スモールスケールであろうと)結構
何気におかしている罪ではないかと思うのですよねぇ。



時には明らかに不正、悪の行為だと認識していても、特にそれらが自分
に直接関わり合いがない”他人事”の場合、「見て見ぬ振りをしてその
まま立ち去ってしまう」という場合も結構あったりするのではないか
と思います。


いじめなどに関しても、被害者ではないまわりの者達は、下手に関わ
ってしまうと今度は自分も被害にあうのではないかと恐れてしまい、
「見て見ぬ振りをしてしまう」というケースも少なくないと思います。


この「見て見ぬ振りして何も行動を起こさない事」については、実は
人一倍正義感が強く、高い理想や道徳観を持つうちのパパが生涯葛藤
し続けている課題でもあります。


若い頃はミリタリー、そしてその後は郡の法執行機関(郡の保安庁)に
勤務していたパパは、これらの階層制度が明確な機関や、またそれ以外
の一般企業や機関の中で、時には色んな範囲の不正や不法行為を目の
当たりにしてきました。


機関や機関に属する個人にとって暴露されると都合の悪い不成行為や
過失をカバーする為に、組織が個人(パパ)に圧力をかけ黙認を強制
する場合なども多々ありました。


(中にはあまりにも信じられないようなクリミナルなものもあるので
ここでは詳細は控えますが、事実を知ると本当に恐ろしいです。汗)


正義感、道徳観が強いパパは、もちろんそれらを黙ってうなずいて
受け入れる事は出来ず、かと言って自らの正義感を貫き通して行動を
起こすと、自分(&家族)にとって不利になる立場に追い込まれる事
になるという事も充分認識していた為、巨大な心の葛藤に苦しめられ
ていた事もかなりあったようです。


そして明らかな不正をそのまま見過ごしてしまう事は、自分自身の
信念に妥協し、権威に屈してしまう事になり、それはパパの「自ら
をリスペクトする気持、自尊心」を大きく打ち砕いてしまうものでも
あり、そういう自分が許せないという部分もあるのでしょう、パパ
は家族に負担がかからない、自分自身が犠牲になるだけで収まる個人
レベルにおいて、それらを受け入れる覚悟で自分なりに”反撃”し続け
て来たみたいでした。


(個人レベルというのは、部署内での昇進や希望の部署への移動の
チャンスを失ったり、降格され銃を所持する資格を失ったり、自分に
落ち度はないのに機関から”無給謹慎処分”を言い渡されたり、(まっ、
これは一定の期間お給料がないので家族に影響するレベルと言えます
が。)上司から水面下での”アンフェアな扱い”をされたりなど...)


そして時には家族の生活に大いに影響して来る可能性のものもあり
ました。

解雇の可能性や、下手をするとパパ自身が刑事責任を問われるよう
な状況に立たされたり。

(何度か弁護士のお世話にもなりましたよ。汗)


そういうパパには私も精神的に随分振り回され、こちらもかなり辛い
思いをしてきましたが、でも今考えると、こういった部分もパパの
ギフテッドの精神的特徴の一部であり、パパはパパなりに世の中の
不正や理不尽さを対処していっていたんだなと最近になって気がつ
いたのでした。


理想主義で完璧主義、道徳心が強いギフテッドの人達は、”悪”という
ものに対してもとても敏感で、この世の小さな悪から巨大な悪をいと
も簡単に感知してしまい、それらの悪が(私達の怠慢さや無関心の為)
野放し状態でウィルスのようにどんどん広がって世にはびこってしま
う事に対しての苛立ちや、人々に対しての怒りや失望感も一層強く感
じてしまい、精神的にもとても辛い思いをしているのではないかと思
うのであります。


子供の頃はこういった世の中の”理不尽さ”や”不正”などに直面する
機会も少ないと思うのですが、社会の中で生きていると多かれ少な
かれこういう人間のダークな側面に直面する機会の多いギフテッド
の大人達にとっては、こういった部分はまさに精神的な面での大き
なチャレンジだと思います。



Dr. ジンバルドは、一般の良識をもつ私達が悪人へ変るプロセスの
一つとして、「怠慢や無関心によって受動的に悪を許容する」
説明していますが、私が思うには実際のところは、この「悪に対し
て見て見ぬ振りをして何も行動をとられない」というのは、私達の
怠慢さや無関心さと言った要素だけが原因ではなく、実は(パパの
経験からも言える事ですが)私達が行動を起こし難い状態(機関や
団体による個人に対して不利や危険をもたらす圧力)から来ている
部分も多々あるのではないかと思うのです。



実際、アブグレイブでの虐待を見て、それを上級調査官に報告した
下等兵だった兵士は、彼自身や彼の家族に危害を加えられるの可能
性を恐れ、3年間も姿を隠す必要があったそうです。


正しい事をするのに自らや家族の生活、または身の安全を犠牲に
しなくてはならないなんて。


いくら良識があったとしても、正しい事、良い事をする事が困難な
社会では、悪がはびこっていくのも決して不思議な事でないですよ。



それでもやはりどうしてもシステムには打ち勝てない部分もあり、
パパの場合は(家族の為に)”悪”に対して目を伏せなければなら
ない部分の代償として、自らが行動を起こす事ができる”人助け”
などに積極的に携わったりして”善”の部分を実行して行き、モラル
感のバランスをとって、精神的に対処していってる感じがします。


*パパは自分自身が全く面識がない人(私の友達の友達)が癌に
侵され、骨髄移植のドーナーを探していると聞くと、車で何時間も
する骨髄バンクに行ってマッチするかどうか調べ、自ら提供者とし
て登録したり、など私自身が出来ないような事もやったりします。


随分昔に書いた記事の出来事も、困っている人を見るとついほって
おけないパパの良心的な面を物語っている感じがします。


この記事、かなり残念な出来事について書いてますが、発達障害の
子を育てている親にとってはある意味教訓的な出来事ゆえ、もし
時間があったら読んでもらえると嬉しいです。



何やら「ルシファー効果」から話題があちこち飛んでしまいましたが、
このプレゼンを観ていて色んな思いがよぎり、とりあえずそれらを
ブログに書き留めておきたいと思いました。


私のランダムなつぶやきにおつきあいくださりありがとうございました。


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by mathgifted | 2013-12-23 11:33 | Psychology


数学が得意な16歳の2E kid(ASD&ギフテッド) あーちゃんの毎日を綴っています。ネバダの山奥で熱愛する数学を修行中!将来は大学の数学教授になるのが夢。13歳から本格的に地元の大学で数学のコースを受講し始めました。 目指すはMIT or Caltech! 


by あーちゃんママ

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